第12回エシカルインタビュー <zancon-Planterプロジェクト(文化デザイナー学院×茨城県コンクリート製品協同組合)(水戸市)>

茨城県内のエシカルな取組を紹介する「エシカルインタビュー」。

今回は、デザインの力で「残コン」(工事現場で余った未使用のコンクリート)の活用にチャレンジする「zancon-Planterプロジェクト」を取材しました。

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ギャラリーにて学生の作品を手にする荒井真次校長(右)と小河原隆次理事(左)

zancon-Planterプロジェクトについて

このプロジェクトは、学校法人リリー文化学園 専門学校文化デザイナー学院と、県内のコンクリート製品の安定供給に貢献することを目指す茨城県コンクリート製品協同組合との共同開発で誕生しました。学生たちのみずみずしい発想が、残コンから独創的なプランターを生み出し、同校の無人販売店「glows」等で広く一般に販売されています。

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「zancon-Planter」は、学校地下1階にある無人店舗「glows」で販売

プロジェクトのはじまりは、「コンクリート製品検定」でした。
「身近にありながら限定的なイメージしか持たれていないコンクリートについて、もっと知っていただこうと、建築設計デザイン学科に対して検定受験を提案しました」と話す、組合の小河原隆次理事。

学校側も、建築資材に欠かせないコンクリートについて学ぶ好機になるとして、検定合格を目指した講習会や、知見を深めるための工場見学を組合に依頼しました。

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組合の会員企業の工場を見学し、学びを深める学生たち

「受験して終了ではもったいない。学びの実践として何らかの造形でアウトプットしたい、しかも双方にプラスになるものを作りたいと協議を重ねた結果、残コンをデザインの力で価値化する『zancon-Planter』というアイデアが生まれました。コンクリートは、やがて土に還ります。その性質をプランターで表現しました」と、当時を振り返る荒井真次校長。

学生と技術者の二人三脚で開発

『zancon-Planter』の商品開発にあたっては、デザインの力で生み出せる面白さはあるか、技術的に製造可能なデザインか、購入者が持ち帰ることができる重さか等、幾多のハードルを学生と組合の技術者たちが議論を重ねてクリアしていきました。

「最初は『マジか?』と思った学生のアイデアですが、2年目からは『よし、やってみよう!』と技術者魂に火がつきました」と笑顔を見せる小河原理事。面白いデザインほど腕が鳴ると言います。

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学生たちの作品模型は学校1階のギャラリーに展示

展望について

令和2年から始まり、毎年、学生のプレゼンテーションを経て『zancon-Planter』の最優秀作品が選ばれ、商品化されています。令和3年には「いばらきデザインセレクション2021」にて、今後が期待される作品として奨励に選定。学校と組合に加え、ともにこのプロジェクトに挑んだ小河原セメント工業株式会社、東洋コンクリート工業株式会社も奨励を受けました。

「組合は新製品の開発という役割も担っています。長く活動を続け、いつか画期的なエシカル商品を開発し、県内だけでなく世界に貢献したいと思います」と語る、小河原理事。
「これからもこのプロジェクトを長く継続し、先輩から後輩へと知見を引き継ぎ、デザインの力によるソリューションのインパクトを強めていきたい。茨城県は面積も広く、こうした大きなものづくりに適しています。エシカルなコンクリート製品といえば茨城と言われる未来をつくっていきたいですね」と、荒井校長も夢を膨らませます。

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1年間の学びの集大成であるプレゼンテーション風景

●学校法人リリー文化学園 専門学校文化デザイナー学院
アクセス 茨城県水戸市泉町1丁目3−22
電話番号 029-303-1010

同校は授業の一環として、ファッションビジネス学科の学生たちが制作したリメイク衣料やアクセサリー、雑貨等を販売する無人店舗「glows」も営業しており、「エシカルいばらき」の「エシカルマップ」でも紹介しています。
https://ethical-ibaraki.pref.ibaraki.jp/index.php?ethical-map007

●茨城県コンクリート製品協同組合
アクセス 茨城県水戸市東赤塚2154-3
電話番号 029-253-2251